さて今回は、特殊の一般化について考えてみたいと思います。
特殊の一般化とは、私が考えた用語で、今までに一度しか起きていないのに、テレビ等のメディアが一斉に繰り返し報道することによって、明日にでも起きるかもしれない出来事へと一般化されることを言います。
最近の例で言うと、煽り運転です。
非常識にも高速道路で気に食わない相手の車を停止させ後続車の事故を招き尊い人命が失われた悲惨な事件のことです。
そもそもがこの事件の原因は煽り運転ではなく、高速道路上に車を止めさせたことにあります。
しかし人を裁く時の法律上の問題として煽り運転が原因の事故とされています。
そしてその後煽り運転が大いに問題視されることになりました。
以下、私が思う事実を述べてみます。
- 高速道路で相手の車を停止させ後続車の事故を誘因しあのような悲惨な事件が起こった例は、私の場合その一例しか知りません。
- 昔から煽り運転は当たり前の様に存在していました。遠乗りをすれば必ず少なくとも数台に煽り運転を私はされました。
- 私の周りで煽り運転を自らが行って相手の車を停めた事例は一人だけ存在しました。
- あの事件後、煽り運転で車を止めさせる事例をテレビで見ることが極端に増えました。
以上の様にあの事件自体は非常に特殊なケースです。
さらに煽り運転で車を止めさせる事例は増えているのか、もしくは録画するカメラやスマートフォンの普及で明るみに出てきただけなのか、私は分かりません。
いずれにしても煽り運転をしてさらに車を止めさせる例はそんなに多くはないと思います。
しかし私の心の中を覗くと、明日にでも煽り運転を受け、車を停車させられるのではないだろうかという恐怖は、明らかに一般的になってきています。
何故かというと、メディアによる煽り運転関連の情報量が圧倒的に増えたからです。
過激な煽り運転が一般化されてしまったからです。
では、過激な煽り運転が一般化されて誰が得をしたでしょう。
まずは政治家でしょう。
政治家に仕事の機会を与え、仕事をしている姿をテレビでアピールすることができました。
次にテレビ局です。
このような特殊なケースは、耳目を集めます。
みんなが興味をもって真剣に見ることでしょう。
最後に企業です。
過激な煽り運転対策関連で物が多く売れたでしょう。
では誰が一番損をしたでしょう?
私達一般人ではないでしょうか。
滅多にないことに恐怖を覚え、対策グッズを購入させられ、ちょっとした運転も煽り運転だと他人が思うかもしれないと怖れ、特殊の一般化で私たちに何か良いことがありましたか?
もちろんばっちりカメラに一部始終をおさめて、お陰様で悪者を捕まえて良かったですと言う人も数人はいるかもしれません。

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