私はそれを特殊の一般化と呼んでいる。
幼い頃習った言葉にこういうのがある。
犬が人を嚙んでもニュースにはならないが人が犬に嚙みつくとニュースになる。
まさにこれがマスメディアの本質だと思う。
当たり前なのだがごく一般的なことはニュースにはならない。
めったに起こらない特殊なことだからニュースになる。
日常茶飯事で誰もがいつも目にすることがニュースになっても耳目を集めることはできない。
当たり前だ。誰もそんなものに興味はない。だっていつも目にしてるんだから。
特殊の一般化は知らず知らずのうちに人類に害を及ぼしている。
滅多に起こらないことでもマスメディアで何度も目にしているうちに明日にでも自分の身に降りかかるのではないかと不安になってしまうことだ。
なので人類はほとんど起こることのない事象に対して貴重なお金と時間を殊更に費やしてしまう危険性がある。
これが直接人間の命に係わることになるとさらにヒートアップする。
人類史上初の事象であっても未来に対してそれが再び起こらないように対策を講じる。
人類史上初の事象なのでこれが再び起こる可能性はかなり低いのだがマスメディアの特殊の一般化によって明日にでも起こるのではないかと皆が思い始め、滅多に起こらないことに全員が対策を講じることに疑問を感じない。
たぶんもう起こらないだろうことに対策を講じるのは悪いことではないがその分無駄も多くなる。
しかしこれは無駄ではないのかもしれない。
対策にはお金がかかる。
お金がかかるということは誰かが儲けているということだ。
その点では経済が回るので良いことではある。
そしてマスメディアが作り出した不安から逃れることもできる。