洗脳を理解するためには、次の三つの概念を理解する必要がある。
変性意識
内部表現
ホメオスタシス
以上を、苫米地 英人 (著)『苫米地英人コレクション1 洗脳護身術』36ページより引用させていただきました。
変性意識とは同書によれば、臨場感を感じている世界が物理的な現実世界ではなく、映画や小説といった仮想世界にある状態を指すそうだ。
現代人が物理的な現実世界に臨場感を持つ機会は増々減っている気がする。
映画やドラマはまさに仮想世界だし、SNSでさえ物理的現実世界を無視してほとんど仮想世界状態だ。
そういう意味では現代人は常に何らかの仮想世界に臨場感を感じている存在だと言えよう。
テレビは数少ない特殊な事例を何度も取り上げるので、その数少ない事例が一般的である仮想世界が構築されてしまう。そしてそれに視聴者は臨場感を感じる。
今までに一度しか起こったことのない事件が、テレビによって何度も何度も繰り返し報道されることによって、明日にでも自分の身に降りかかるのではないかと不安になった経験は誰にでもあるだろう。
まさにこれはテレビの創り出した仮想世界に臨場感を感じている証拠ではないだろうか。
「外界を視覚で認識すれば、視覚野での神経が活性化し、その結果が前頭葉で認識される。この視覚野から前頭葉までのすべて脳内での情報状態が内部表現である」と同書にある。
外界にテレビや映画やドラマがあれば、あるいはSNSのタイムラインがあれば、当然脳内に情報が蓄積されて内部表現が出来上がる。目から入ってくるものに情報としての価値を自分が見出せば当然脳内の内部表現は目から入ってくる情報によって書き換えられるだろう。
同書にはさらに、「脳内の物理レベルから心理レベルまで含めたすべての抽象度における外界の表現が内部表現である」とある。「脳内にある自分自身を含めたあらゆる抽象度における世界のモデルが内部表現である」ともある。
「外界のモデルとして脳内で表現される世界」が内部表現であるという記述も見られる。
この時外界にあるものが、映画や小説等の仮想世界であっても脳内に内部表現は構築されるようだ。
「このように人間は、物理的現実世界以外の仮想世界を内部表現として持つことができるように進化した。だからこそ人間は洗脳から逃れることができないのだ」と同書は続く。
ホメオスタシスは、恒常性維持機能と訳され、呼吸や心拍のように、生体が一定の状態を保ちながら、生体の安定的な状態を維持しようとする傾向のことだそうだ。
生体と外界の間でフィードバック関係が成立しており、生体が外界の状態に合わせて健康で安定した状態を保とうとするとのこと。
そして人間は進化の結果として、物理的な現実世界だけではなく、仮想世界ともホメオスタシスのフィードバック関係を持てるように脳が進化しているそうだ。

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